純文学– category –
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『人間失格』再考──近代日本文学の極点から、現代人へ投じられる問い
はじめに:存在の不安と人間性への問い 太宰治『人間失格』は、初出(1948年)から半世紀以上を経ても、その「生きづらさ」を中心とする主題が読み継がれ続けています。 本作は、没落する青年・大庭葉蔵の一代記という形式をとりながら、読者に「人間とは... -
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『雪国』を通じて川端康成の世界を探る【あらすじ】
『雪国』川端康成 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。 『雪国』冒頭の一説より引用 はじめに こんにちは、かみなり書房店長のたつです。 今回は、川端康成の名作『雪国』を紹介します。 このブログでは、川端康成の作品の魅... -
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AI時代の言葉を問い直す『東京都同情塔』【あらすじ】
『東京都同情塔』九段理江 ……でなければならない。……べきだ。強い意志と義務を示すコンクリートのように硬質な言葉たちが、私の内部でぼこぼこと音を立てて泡立ち続ける。それは私が自分自身を支えるために用意する、堅固な柱であり梁だった。 引用:「東... -
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『人間失格』は本当に太宰治の遺書だったのか?【あらすじ】
ちっとも悪びれず下唇を突き出すのです。 「馬鹿野郎。貞操観念、・・・・・」 『人間失格』太宰治 本文より引用 はじめに 太宰治の『人間失格』は、主人公の大庭葉蔵が自身の手記を通じて語る自伝的な小説です。この物語は、葉蔵が幼少期から青年期にか... -
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読書文化のマチズモを打破する『ハンチバック』の魅力【あらすじ】
私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、――5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。 『ハンチバック』市川沙央 26頁 はじめ... -
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『潮騒』から読む神島の美しさとは?三島由紀夫【あらすじ】
「その火を飛び越してこい。その火を飛び越してきたら」 『潮騒』三島由紀夫 本文より引用 はじめに 『潮騒』は、三島由紀夫による1954年発表の長編小説で、若い漁師の久保新治と海女の宮田初江の純愛を描いた物語です。舞台は、三重県鳥羽市の神島で、都...
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